薪火石窯パン工房　アウビングのブログ

アウビングはパン屋ですが、里山整備をしたり、畑で野菜やハーブを育てたりと、全国的に見てもそんなことをそんな規模でやっているパン屋やお菓子屋さんなんてほとんどないことをしています。
でも畑での野菜の栽培といってもどんなことをしているのか、アウビングに通って下さる常連のお客様でもあまり知られていないと思います。

そこで今回はアウビングの畑について書いてみたいと思います。

アウビングは２０１０年（平成２２年）にパン屋として活動、営業をはじめました。　でも里山の整備をオーナーの私が始めたのは２００４年（平成１６年）で、畑での野菜の栽培を始めたのは２００７年（平成１９年）ですからパンより畑での野菜栽培の方が先になります。
ドイツに留学していたことがきっかけでパンを作ることになったのですが、最初は里山の整備を始めてかなり本格的に山仕事をしていました。
里山整備で山から出た大量の腐植（腐葉土）をなにか有効に使えないか？と考え、滋賀県日野町にある祖父母が耕作しなくなっていた放棄地を畑によみがえらせようと、畑に腐葉土を投入して活用することを思いつきました。
そこで雑草だらけになっていた畑の草刈りから始めることになったのです。それが２００７年のことです。






草を刈り、トラクターで耕し、山から運んだ腐葉土を畑に投入して野菜作りをスタートさせました。

初めは素人なので土づくりもよく分からず、選んだ作物は無難に大根とトウモロコシ、サツマイモでした。
雑草との闘いもこれほどとは知らず、作物が負けないように休日はできる限り畑にも通って世話をしました。
同時に農業について山のことと同じくかなり勉強をして、一日でも早くプロの仕事ができるようにと努力したのも昔の良い思い出です。

無農薬、有機栽培で育てるので、害虫とどう向き合うのか、手間を少なくしてもきれいで立派な作物が採れ、おいしくするにはどうしたらよいのか、いろんな方面からの知識をもとに、学ばせてもらいました。
また、失敗を肌で経験して、その都度対処や改善を考え、学ぶことは多かったです。



最初に栽培したトウモロコシはうまく成長し、もうすぐ収穫というところまできました。


でもその十日後・・・




畑に行くと様子がおかしい・・・
そうです獣害（サルに食べられた）に遭ってしまってました・・・。

せっかく育てたのにほぼすべてを食べられてそれで終わりでした。
その後は獣害の心配のないアウビングの敷地の畑で栽培するまでサルを呼んでしまうトウモロコシは決して栽培しないと決めたほどです。

大根は今一つの出来でしたが、サツマイモはかなり大きく成長し、翌年からはドイツでは当たり前の西洋野菜や、日本の固定種など次々と栽培品目を増やしながら畑も増やしていきました。

今では日野の畑は数か所あり面積もかなり広がりました。　　
２０１５年（平成２７年）からはアウビングのお客さんで野菜を栽培したいという方に畑をお貸しし、今でもその面積は拡大中です。



この十年間でもっとも努力したことは、土づくりです。
農薬も化学肥料も使わず、それでいて畑も見た目がきれいで作物も力ありおいしいものを作れるようにと、自分なりの農法をもとに栽培を続けています。
その栽培品目は多い時で７０種類以上、例年は３０～６０種類くらい植えています。











耕作放棄地の田んぼで無農薬の米作りにも挑戦したり、パンのために麦を栽培しようと試みたこともありましたが、現在は野菜とハーブに絞っています。
それでも、パンを作るために畑での栽培の経験はかなり大きなものになっています。　世の中には多くのパン職人さんがいる中で、畑で野菜作りもするという職人さんはそうはいないので、この経験がアウビングオリジナルのパンづくりのもとにもなっています。

畑をやることになったことはすごく大変なこともあった半面、幸運なことだったとも思います。私が畑をしたことで畑にもいろいろな人が来たり、体験もされてきました。
栽培した野菜はアウビングのパンやピザに使ったり、店で野菜として販売し、もちろん自分たちでもいただいています。

アウビングの畑の周りでは、畑をしなくなった人が年々増える一方で、畑は荒れ続けています。　その畑をアウビングが引き継いだところもあり、周囲に喜んでいただけているのも良い効果です。
今後はさらに良い野菜を定期的に収穫できるようにしたり、土地に向いた作物をたくさん栽培したり、もっと畑に参加される方も増やしていけるようにいろんなことを計画中です。